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継立ノ宿場

2023

「古民家改修」という言葉の明確な意味の規定はないが、半世紀以上前の伝統的な構法を使う建物を構法を継承しつつ新しくする改修ということをイメージしやすい。
ただ決してその様な特出すべき建物だけが所謂「古民家」ということではなく、半世紀ほど経てばどこにでもある匿名的な建物も「古民家」であるということを今回の物件でのクライアントの言葉で気付かされる。

栗山町の継立地区にある築約半世紀前の匿名的な住宅の改修工事である。クライアントはSNSでの情報発信や影響力を持つ若い農家であり自身のライフスタイルを共有する仲間達との交流場としてゲストハウスも視野に入れた空間づくりの依頼であった。

既存の住宅は半世紀の間に家族の変化によるものか場当たり的な増改築がされており初めて訪れた際にその姿が興味深く写った。この偶発的な状態を継承することに焦点をあてた。一つのルールによってまとめ上げるのではなく、既存のもの、新たに装うもの、取り払うもの、残していくものを拾い上げ場面を切り取り貼り合わせる様なコラージュ的な空間。ここを訪れる方々にこの場所を継続して作り続ける余地も作ることを改修の方針とした。これが匿名的な「古民家」への構法の継承の解答の一つになるのではないかと考えた。
基本的には既存のプランに沿い大きな変更はないものの、1Fリビングと玄関を仕切る壁と扉を取り払い玄関や階段や、2Fホールをリビングの方へ取りこんだ。南面に接した2Fホールの光を1Fへ落とすため床を一部すのこ状とし光を落とすと共により空間としての一体感を出している。

「継立」はこの地域の名前でもあるが宿場へ貨客を送り継ぐことの意味を持つ。この場所を文化を交流する現代の「宿場」として捉えるととても興味深く写る。

北海道栗山町

用途:

店舗兼住宅(民泊予定)

建築面積:

延床面積:

構造:

リノベーション

工事種別:

設計:空間工作所 施工:西岡建設

撮影:

中村晴太

在来木造2階建

敷地:

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